マンハッタン・キス
最終更新: 2020年4月11日

竹内まりやの「マンハッタン・キス」という曲を聴いていた。まろやかで艶っぽい声が、私の心んにじんじんと染みていた。
YouTubeのコメント欄はこんなことが書いてあった。
「発売当時は学生だったので、この歌詞の意味は理解できなかったけど、数年後に社会人になって、相手のいる人と付き合うようになって歌詞が深く刺さりました。半年ほどで別れ、あれから20年経ちます。未練は全くありませんが、恋愛の全てを教えてくれた忘れられない人です。」
幸せな経験だな、と思う。この人は人生を変えるような人と出会えたのだから。
いつも誰かに守られて、安全に生きていたら、深く人とわかり合いたいなんて感情は起こらないものね。
深い孤独を経験しなければ、人と溶け合い愛するということはできないんだ。
そういえば、子供の頃に「少女ポリアンナ」という児童小説を読んだ。ポリアンナは孤児だが、どんな辛い時も身近な幸せを見つけて、周囲を幸せにするという物語だった。
この少女のようになれたらいいなと漠然と思ったけど、どういう精神状態になったら、そういう風になれるのかわからなかった。
子供は、甘ったれだ。いつも誰かに頼って、自分の不幸を誰かのせいにしたり、自分の責任を人に押し付けたりしているから、心からの充実感が見つからないのだ。
人は死を覚悟した時に、世界の全てが美しく見えるという。
いろんなしがらみがきえて、精神だけで生きるとき、本当に美しいものが見えるのかな。
「マンハッタン・キス」は不倫の歌だ。許されない恋をする時、女は全てを敵に回して信じたものに身を投じる。潔い勇気だ。しかし社会はそれを正義と称して、叩き潰す。社会における正義とは、いつも人の心の真実から外れているのだ。
マスコミが面白おかしく騒ぎ立てることを、平気で話題にして楽しんでいる人は、多分人生に退屈している人だ。
他愛もないことで笑って、平穏な暮らせる幸せもあるのだろうけど。平穏な日々で、私たちが学べるものはなんなのだろう。
深い孤独に身を置く時、私たちの中でプライドが育つ。プライドは何かを信じ貫く力だ。
女は誰かを愛すると決めた時、自分の中の愚かさに出会い、もがきながら強くなる。
私は自分の中の女をいつも哀れんでいたし、恐れていた。
でも、信じたもののために力を尽くして、たとえ傷ついたとしても、プライドのある人は経験を心の糧に変えていけるのだ。
「マンハッタン・キス」を歌う竹内まりあの声はとてもやさしい。孤独をたおやかに受け止め、しなやかに生きている。そんな女になりたい。
竹内まりや「マンハッタン・キス」
https://youtu.be/0m9XVoowMWU