そして、我にかえった。

CGアートを創り始めてもう15年。ずいぶん色んな冒険をした。失敗も結構したがそれなりに進んだのではないかな。しかし私としてはインナースペースをずいぶん長く旅してたような気もする。
今日、ショップサイトの商品管理をするために、サイトからCSVファイルをダウンロードした。これをカテゴリー分けするために編集して再アップロードしなければならない。
しかしEXELファイルが何故か保存できない。あれこれ試してみるも解決できず、このソフトをインストールした夫に助けを借り、なんとか編集することができた。
そもそもCSVファイルというものが、なんだか分からなかった。きっと、WEBの世界で働いている人は、常識中の常識なのだろう。それを半日かけてネットで調べなければ理解できない私は、既に時代遅れのおばさんになってしまった気がした。
「ちょっと、またなんか分からないことがあったら聞いてもいい?」と夫に言ったら、「えっ、CVSファイルのことなんて俺だってわかんないよ。」と言い残して、部屋から出て行ってしまった。
なんだこの、見捨てられた感は。
そして、我にかえった。これからの時代を生き抜く、ということは、このような感じがつきまとうのかもしれない。ちょっともたもたしていると、ああ、遅れてしまった、と焦るような。
急に眠りから覚めたように、周りの世界が見えてきた。怖いほどカラフルだ。そしてすごい速さで回転していることを今更のように感じ始めた。
いつかの、堀江貴文さんやメンタリストのDAIGOさんの話を思い出した。彼らの話は明快で好きだった。彼らは悩み患って時間をロスするのを嫌い、短期間で効率よく成果を上げることを望んでいた。何故なら時間には限りがあるからだ。
私は遠回りも人生には必要と思っていた。心と向き合って感じることは人生を豊かにするものと信じて絵を描いていた。しかしそんな時代は、もう終わりに近づいているようだった。
まだどこへ向かうか分からない。ただ世界は急流の如く変化し、この一分一秒の間に勝者と敗者が決まっては入れ替わっていくのはわかった。 この急な変化の中では、目に見えるものが全てではない。富や名誉も、時代が過ぎれば変わり、何が幸福で価値があるかも変わっていく。その中で私は、何をつかんでどう動いていけばいいのだろう。
どうかこの素早い潮流の中で、リズムをつかめますように。
写真:混淆街 カズキヒロ